子どもが頭を打ったら…
子どもが頭を打った時は、子ども特有の性質を考慮しながら慎重に経過観察しなくてはなりません。新生児の場合は、脳内に出血が起こっても症状が目立ちません。また乳幼児期の場合は、転倒や頭部外傷の事実がうまく把握できなかったり、お子様自身が症状をうまく伝えられなかったりすることがあります。まずは、下記の状態がないかチェックし、様子を見てください。
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ぐったりしている
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顔色が悪い
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吐いている
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けいれんしている
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意識がもうろうとしている
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息苦しそう、呼吸が不規則
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(赤ちゃんの場合)ミルクを飲みたがらない
上記の症状が現れた場合は、高次医療機関を受診してください。頭を打った直後には症状が現れないこともあるので24時間は慎重に経過を観察しましょう。
頭蓋内血腫
頭蓋内に血腫(血の塊)ができる状態です。硬膜外血腫や硬膜下血腫、脳内血腫などの種類に分かれており、迅速な治療を行わなくてはならない状態になります。
頭の表面の腫れ
(たんこぶ)
頭皮の表面には血管がたくさん集まっています。そのため外傷を受けると、頭が「コブ」として膨らむことがあります。コブは、皮膚の中にある組織が傷つくことでむくんだり、皮膚の下で血腫が発生したりすることで現れます。
腫れている場所が骨折すると、へこんでいる部分をカバーするため、骨折の有無が分かりにくくなることがあります。その場合は画像診断を行い、慎重に診る必要があります。
脳の腫れ
子どもは大人と比べて、外傷後に脳が腫れやすいとされています。重度の場合は生死に関わるため、慎重に症状を診なくてはなりません。
子どもが頭を
打ちやすい原因
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頭部が大きく重心が上の方にあるため、転びやすい
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身長が低いため目線が低く、大人より視野が狭くなりやすい
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興味の対象に関心が集まりやすいため、全体を見たり瞬時に状況を判断したり、危ないことを予測したりする能力が掴めていない
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位置感覚を掴む力がまだ育っていない
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腕力が弱く、危険から回避する動きが遅れてしまう
など
頭部外傷後にできること
傷口の手当て
水道水で流しながら石鹸で洗いましょう。洗った後は傷口の止血を行うため、10分程きれいなタオルで押さえてください。(滅菌ガーゼがある場合はそれを使いましょう)。腫れを伴う場合は、氷をタオルで包み、20分程腫れている部分にあててください。
休息をとること
症状が治まるまでの間、最低でも2時間は横にして休息させてください。眠そうでしたら、そのまま寝かせても大丈夫です。子どもを起こす必要はありませんが、両親の目の届くところで寝かせ、様子を見てあげてください。
食事
水分を与えてみましょう。1-2時間経過しても吐かないことが確認できたら、食べ物を食べさせても問題ありません。頭に外傷をおった後、吐いてしまう子どもは多いので、吐き気が落ち着くまで食べさせるのは避けてください。
頭部外傷後に注意すること
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激しい動きをさせない(頭を振る、ぶつかる恐れのある動きをする運動はNG)
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車などの乗り物を使って遠出するのは避ける
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長風呂を避け、軽く洗うだけに済ませる
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食べすぎ・飲みすぎをさせない
頭部外傷の予防
生まれてから
5か月頃まで
- 赤ちゃんが生まれるまで、周りの生活環境(特に階段・風呂場など)に問題がないかチェックする
- 危ないと思った場所は修理したり柵を設けたり、鍵をかけたりする
- 赤ちゃんを移動させる際は、必ず保護者が両手を抱えて行う
- 赤ちゃんを床より高い場所に置いたり寝かせたりする場合は、転倒事故にならないよう常に注意する
- 発育に配慮しながら育児グッズを選ぶ
6か月から1歳頃まで
階段、床から庭、玄関での転落事故が多くなる年代です。
特に歩き始めの時期は、床の段差や敷居に躓いて転倒しやすいので注意が必要です。
- 転倒しても外傷が深くならないよう、環境を整備する
- 床にマットを敷くなど、転倒時の衝撃を軽減させる
- 自宅に階段がある場合は、出入り口に柵を置く。手すりをつける
- 柵を置くスペースがない場合は、滑り止めを敷いたり壁にラバーをつけたりする
- テレビなどは部屋の隅に置き、床に物を置かないようにする
- 首のすわり具合や腰の安定などの発育に考慮しながら、ベビーカーを選ぶ
1歳から4歳頃まで
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風呂場にすのこなどを置いて滑りにくくする。浴槽で溺れる事故を防ぐために、風呂場には1人でいれないようにする。浴槽に水を残さないようにする。
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階段を昇り降りする時は必ず保護者が同伴する。手を繋ぐか下側から様子を見守る。
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運転技術の未熟さと大人との二人乗りによる、自転車の転倒事故が出てくる年代でもある。足台付きの補助座席を用意する、自転車を止める時は必ず子どもを先に降ろすといった対処法を行う
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公園の遊具による事故が増えてくるため、子どもの歳に合わせた遊具で遊ばせる。地面の硬さや階段の幅・間隔などに問題のない遊具なのか、前もって危ないかどうかをチェックする
5歳以後
- 幼稚園や保育園、小学校での事故やスポーツによる怪我が多発する。
- 施設ごとの安全対策や安全教育をはじめ、子どもに危機意識を促す教育が重要になる。