アレルギー性鼻炎について
アレルギー性鼻炎は、アレルゲンが鼻粘膜につくことで、透明で水っぽい鼻水や鼻づまり、くしゃみを起こす疾患です。主に2種類あり、花粉症のように特定の季節にみられる季節性と、ダニなどによる通年性に分類されます。目や耳、喉のかゆみ、頭痛、食欲不振を伴うこともあり、アトピー性皮膚炎や気管支喘息と合併するケースも少なくありません。
命を落とす疾患ではありませんが、仕事や学業、運動などに悪影響を及ぼし、QOLの低下にも繋がります。
季節性アレルギーの原因
(抗原/アレルゲン)
スギやヒノキ、ブタクサ、ヨモギ、イネ、シラカバ、カモガヤ、オオアワガエリなどの花粉
同じ植物でも、花粉が飛ぶシーズンは地域によって異なります。そのためお住まいの場所によっては症状が起こる時期も変わります。
通年性アレルギーの原因
(抗原/アレルゲン)
ダニやハウスダスト(ホコリ、カビ、フケ、ペットの毛など)など
窓を閉め切る機会が多くなる冬や、引っ越しなどをきっかけに発症する傾向があります。
注意したい
アレルギーマーチ
アトピー性皮膚炎や食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎など、アレルギー性疾患はたくさんの種類があります。成長するにつれて、これらのアレルギー性疾患が次々に発症することがあります。その状態が「アレルギーマーチ」です。アレルギーマーチを防ぐには、子どもの頃からアレルギー性疾患をコントロールすることが必要です。
アレルギー性鼻炎の診断
鼻水やくしゃみはすぐに発見できますが、子どもの鼻づまりは見過ごされる傾向があります。そのため「鼻をすする」「目や鼻をよくこする」「口呼吸が多い」などの様子を見て、鼻が詰まっていないかをチェックすることが重要になります。
検査では血液を採取し、原因となるアレルゲンを見つけ出します。アレルゲンが二つ以上見つかる可能性もあります。
アレルギー性鼻炎の症状
サラサラしていて水っぽい鼻水や鼻づまり、くしゃみなどの症状が起こります。鼻や目を気にして何度も擦ることから、鼻や目が赤くなることも少なくありません。また、鼻を何度もすする、いびきをかく、顔をしかめるといった様子をきっかけにアレルギー性鼻炎が見つかることもあります。
アレルギー性鼻炎の治療
無症状、または症状があっても日常生活に支障をきたさない程度の状態を目標に、治療を行います。
アレルゲンの除去または回避できるよう生活環境や習慣を見直したり、薬物療法を行ったりします。また当院では、舌下免疫療法を受けることも可能です。舌下免疫療法やアレルギー性鼻炎でわからないことがありましたら、お気軽にご相談ください。
アレルゲンの除去・回避
アレルゲンとなる物質によって、対処法が変わります。花粉症の場合は、花粉を室内へ持ち込まない対策が重要です。飛散シーズン中は洗濯物や布団を室内干しにしたり、外出時にはマスクや眼鏡、ツルツルした素材のコートを身につけるといった対策を行いましょう。帰宅時は、玄関の外で花粉をきちんと払い落してから室内に入ると良いでしょう。
ハウスダストなどの場合は、室内に布製品をなるべく置かない、こまめに掃除をする、室温と湿度を上げすぎないといった対策を心がけてください。布団は週に1-2回、布団乾燥機にかけたり天日干ししたりして、掃除機でダニやその死骸を吸い取ってください。また、シーツや枕カバー、布団カバーは週に1回は洗濯し、清潔なものを使用してください。
薬物療法
主に抗ヒスタミン薬やロイコトリエン受容体拮抗薬、ステロイド点鼻薬で治療します。花粉症の場合は、飛散シーズンの少し前から治療を始めておくと、症状が軽減しやすくなります。
免疫療法
アレルゲンとなる物質を少しずつ摂取し、体をアレルゲンに慣らして症状を緩和させる方法です。「減感作療法」ともいいます。根治が期待できる方法ではありますが、長期間薬を飲み続けなくてはなりません。また、患者様によっては、期待していた効果が得られないこともあります。昔は皮下注射による皮下免疫療法が主流でしたが、リスクと通院頻度の負担軽減が考慮された舌下免疫療法が現在では普及しています。スギ花粉症とダニアレルギーの舌下免疫療法が保険診療の対象となり、5歳以上から受けられるようになりました。当院でも舌下免疫療法を受けることができますので、気になる方はご相談ください。
アレルギー性鼻炎と
鼻かぜとの違い
鼻風邪の場合は、初期にくしゃみや透明な鼻水が出て以降、少しずつ色の付いた鼻水が出てきたり鼻づまりを伴ったりするようになります。そこから1週間程度で改善します。一方、アレルギー性鼻炎の場合は、くしゃみや透明な鼻水、鼻づまりといった症状が長期間続きます。また、目のかゆみなど他の症状を伴うこともあります。特に、スギの花粉が飛び始める2月頃に、前述した症状が現れた場合は、スギの花粉症である可能性が高くなります。